映画で巡る世界の街
 Vol.75

モナコ

所在地【モナコ公国】

セレブが集う
優雅な観光都市、モナコ

 ヨーロッパ南部のコート・ダジュール(※フランス南部の地中海沿岸にある海岸リゾート地帯)に位置し、三方をフランスに囲まれ、一方が地中海に面しているモナコ。正式国名はモナコ公国で、世界で2番目に面積が小さい国です。紀元前10世紀頃にフェニキア人が入植後に港町として栄え、13世紀以降はグリマルディ家の支配下となり王位が継承されてきました。
 1793年から1814年まではフランス領でしたが、1861年に独立。その後、19世紀末にオープンしたカジノが観光業の繁栄を促し、20世紀に入るとF1グランプリやモンテカルロ・ラリーの開催地としても知られるようになりました。
 なだらかな山並みに沿って海岸線が広がる風光明媚なモナコは、現在、世界中からセレブが集まる高級リゾートとして高い人気を誇っています。

アクセス

東京(羽田空港)からパリ(シャルル・ド・ゴール空港)まで飛行機で約18時間。パリからニース(コート・ダジュール空港)まで飛行機で約1時間半。ニースからモナコ(モンテカルロ)までバスで約1時間。

モナコ観光のための赤と白のトラックレス列車。

モナコ観光のための赤と白のトラックレス列車。

国の面積は東京ディズニーランド約4個分の約2.1㎢で、人口は約3万6千人(2023年現在)。

国の面積は東京ディズニーランド約4個分の約2.1㎢で、人口は約3万6千人(2023年現在)。モナコ国籍を持つ人は居住者の約4分の1程度で、世界からセレブが集まる街として知られる。最大の理由は「タックスヘイブン」とも呼ばれる税制面での優遇だが、治安の良さや美しい街並みなども、セレブに選ばれる理由といわれている。

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  中世から続く旧市街

 1956年にアメリカの女優グレース・ケリーがモナコ大公レーニエ3世と結婚したことでモナコは世界から注目されました。『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』(2014・フランス/アメリカ/ベルギー/イタリア)は、公妃グレース・ケリーをモデルにニコール・キッドマン主演で描いた伝記映画。舞台は1962年のモナコで、フランスとの関係が悪化していた史実をベースに、グレース・ケリーの外交手腕でモナコが危機を回避したというストーリーです。映画では、セレブ達のクルーズ船が停泊している「エルキュール港」や、イタリア・ルネッサンス様式の「モナコ大公宮殿」などの観光スポットを見ることができます。

 宮殿がある旧市街の「モナコ=ヴィル地区」は高級リゾートだけではないモナコを実感できる、下町情緒が残るエリア。映画でもグレースが市場で国民と触れ合うシーンがありました。舞台となった1880年オープンの「コンダミンヌ市場」のフードコートでは、パイ生地にリコッタチーズやほうれん草などの野菜を詰めて揚げたモナコの名物料理「バルバジュアン」や、葉っぱの形をした郷土菓子「フーガス・デ・モナコ」などが気軽に味わえます。また、このエリアにあるモナコ公室御用達のチョコレート店「ショコラトリー・ド・モナコ」では、グレース・ケリーのお気に入りを詰めたボックスがお土産として人気です。

旧市街地の北に位置する「エルキュール港」は、豪華なクルーザーが並ぶ優雅な風景。

旧市街地の北に位置する「エルキュール港」は、豪華なクルーザーが並ぶ優雅な風景。


18世紀にルネサンス様式の宮殿となった「モナコ大公宮殿」には、大公一家が今も暮らしている。

18世紀にルネサンス様式の宮殿となった「モナコ大公宮殿」には、大公一家が今も暮らしている。


モナコの国民食ともいわれる「バルバジュアン」。

モナコの国民食ともいわれる「バルバジュアン」。

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  繁栄の中心「モンテカルロ地区」

 カジノや高級ホテルが集まる「モンテカルロ地区」がロケ地として登場するのは、モナコを舞台に結婚詐欺師の母娘がゴージャスな雰囲気で恋の駆け引きと詐欺を演じるラブコメディ『ハートブレイカー』(2001・アメリカ)。四つ星リゾートホテル「モンテカルロ・ベイホテル&リゾート」や、パリのオペラ座を手掛けたシャルル・ガルニエが設計し1879年に完成した「モンテカルロ・オペラ座」などが使われました。

 大ヒットした『オーシャンズ11』の続編で、ダニー・オーシャンと仲間たちが再集結してヨーロッパを舞台に繰り広げる強盗計画を描いた『オーシャンズ12』(2004・アメリカ)では、1863年にモナコで最初に建てられたカジノ「カジノ・ド・モンテカルロ」が登場。また、マーベル・コミックのキャラクターをベースにしたスーパーヒーロー映画『アイアンマン2』(2008・アメリカ)で、アイアンマンだと公表して新たな危機に直面した主人公がモナコでカーレースに参加するシーンは、「F1モナコグランプリ」で使用されるモンテカルロ市街地コースで撮影されました。

 そしてロケ地巡りの夕食で訪れたいのが、カジノ・ド・モンテカルロに隣接した1868年創業のカフェレストラン「カフェ・ド・パリ・モンテカルロ」。バルバジュアンのような軽食からアワビを使ったシーフード料理までメニューは幅広く、特に人気はこの店が発祥と伝わるリキュールの効いたデザート「クレープシュゼット」。ベルエポックの内装が美しい店内では、オリジナルカクテルを片手に優雅なディナータイムを堪能できます。


モナコ最古のカジノ「カジノ・ド・モンテカルロ」はパリのオペラ座と同じシャルル・ガルニエが設計した歴史的建造物。

モナコ最古のカジノ「カジノ・ド・モンテカルロ」はパリのオペラ座と同じシャルル・ガルニエが設計した歴史的建造物。


モナコを代表するカフェ「カフェ・ド・パリ・モンテカルロ」。

モナコを代表するカフェ「カフェ・ド・パリ・モンテカルロ」。


今月の橋

今月の橋

サント・デヴォート橋

 「サント・デヴォート橋」は、ラ・コンダミーヌ地区にあるアーチ型の道路橋で長さ約33m、高さ最大45m。モナコで唯一の駅「モンテカルロ駅」と市街地を結ぶ重要な交通路であり、公道を使って行われるモナコグランプリのコースの一部としても知られている。